皆さま、日々ワクワクして、
過ごしていますか?
ワクワク目標達成研究室の森です。
ワクワク目標達成研究室では、活動の一環として、人々の幸福・ウェルビーイング(持続的幸福)についての研究、およびその紹介を行っています。
今回はショーペンハウアー『幸福について』についてみていくことで、皆さまのワクワク、あるいはウェルビーイングといったものに役に立つ情報を提供できればと思っています。

読者、視聴者をどんよりさせ、鬱な感情にさせる物語の展開

ポジティブで健康に気を遣うのが幸福への道

ショーペンハウアーは、一般的に幸福かどうかを決める3つの要素があるといいます。
(2)私は何を持っているか(カネ、財産など)
(3)私は人からどう見られているか(名誉、地位、名声など)
皆さんは、上記3つのうち、どれを重要視しますか?
一般的には、(2)(3)が重要だと思われそうですね。SNSでは、(3)のマウンティング合戦が繰り広げられていることも多いですからね。
ちなみに、(2)については、行動経済学では結論がほぼ出ていて、日本円で年収1,000万円内であれば、年収が高まるほど幸福度は上がりますが、それ以上は、年収と幸福度に相関がみられなくなります。
さて、ショーペンハウアーは、この3つのうち、どれが一番大事だと語っているか?(1)です(これは、まぁ予想通りではないでしょうか)
ショーペンハウアーは、意外なことに(?)「心根が明るいこと」が、最も直接的に幸福に効くのだと書いています。楽観、ポジティブ思考が、幸福にはもっとも重要なのだ、というわけです。
(ただ、ショーペンハウアーは、心根が明るいかどうかは変えられないと言っているので、「どうすればポジティブ思考になれるか」とかは一切触れていません)
続いて、「健康であること」が幸福を維持するうえで重要だと指摘します。具体的には……
- 不摂生はダメ
- 精神が過度に長時間に緊張するような環境(ストレスフルな環境)は一切避ける
- 毎日2時間ずつ戸外で活発な運動をする
- 大いに冷水浴をする
- 座りっぱなしはよくない
などなど、かなり当たり前ですが、重要な指摘をしています。
そんなショーペンハウアーにとって、健康を犠牲にして仕事をする、カネを稼ぐのは愚の骨頂、ということになるのでしょう。

その他『幸福について』で多くの人が共感しそうなポイント

あと、ショーペンハウアーは、他にも非常に興味深い指摘をしています。
- 悲観的な人は、最悪の事態を予測し、それに対する予防措置をとりやすい
→ポジティブ心理学でも、一部のネガティブな人は、危機管理意識がすぐれているという研究結果が出ています。
- 人間の幸福には、苦痛と退屈が二大敵手である
→ショーペンハウアーは、貧困層は貧困に基づく苦痛に陥りやすく、富裕層は退屈に陥りやすいとしています。この両方から逃れられるのは、一定の資産があり、かつ「没頭できる知的生活」を営むことができる人だといいます。
- 「他人の思惑が気になって仕方がないという、この病的執着がなければ、奢侈はおそらく現在の十分の一ですむだろう」
→これは、ホントにそうですよね。
- 何事も限定すると、幸福になれる
→お金がたくさんあっても、普段は質素に過ごして、何かの機会に贅沢したほうが、いつも贅沢するよりも幸福度が高そうですよね。
- 「毎晩、寝る前に一日にしたことを吟味する」ことが大切
→これも、本当にそうですね。日誌大事です。
- 朝は一般にあらゆる仕事に例外なく適している
→朝型人間万歳!
- 人の行為に腹を立てるのは、行く手に転がっている石に腹を立てるのと同じように愚かしいことだ。
→あなたが思う以上に、人はあなたのことを気にしていません。これは重要なポイントですね。


あなたはどんな「マインドセット」を持ちたいですか?

ただ、『幸福について』も、後半まで読み進めていくと、鬱展開なショーペンハウアーワールドが展開されていきます。
- 積極的な幸福は幻想。苦痛と退屈を回避する消極的な幸福に満足しよう
→死ぬ前に「あれをやっておけばよかった」ではなく、「あれをやらなかったから、特に失敗もなく、苦痛もなく生きれた」と思って、満ち足りて死ねるかどうか、ですね……
- 才気と分別を見せると、圧倒的多数の人間の憎しみと恨みを駆り立てる
→確かに、これは間違っていないですが、ショーペンハウアー的なやり方でいくと「だから、なるべく人付き合いは避け、ちょっとアホっぽくふるまうのが賢いよ」となる。まぁ、若い人には人付き合いを避けるか、アホっぽくふるまう人が多い気がしますね。それがいいことなのかどうかといえば、やっぱりよくないと思うのです。
ショーペンハウアーの鬱展開の原点にあるマインドセットは、
「現実世界は最悪だから、できるだけ苦痛を避け、心穏やかに生きよう」
ということになるのでしょう。
このマインドセットに共感する人もいれば、そう思わない人もいます。時代が悲惨であればあるほど、ショーペンハウアーに共感する人は、当然増えます。さて、あなたは、いかがですか?
一つ確実に言えるのは、これは「思い込み」だということです。
もちろん、「現実世界は最良で光り輝いている」も「思い込み」です。
大事なのは、人は誰しも「思い込み」の世界で生きていて、各人はその「思い込み」を「事実」だと感じている、という点です。ショーペンハウアーにとっては、現実世界は最悪、という「思い込み」は事実だと確信していたでしょう。
そして、その「思い込み(本人は事実だと思っている)」については、「これは事実ではなくて思い込みであって、この思い込みで苦しんでいるのであれば、別の思い込みを上書きしたほうがいい」と認識するのがポイントです。
もちろん、感情レベルですぐに受け入れるのは非常に難しいので、認識レベルで受け入れるのが第一歩です。
ワクワク目標達成研究室としては、皆さまがワクワクできる「思い込み」を持てるように、今後も様々なことができればと思っています。


おまけ
『幸福について』は、なんとマンガにもなっています! 世の中、たいていの本は、マンガになっていますね。



