「チートもの」人気に見る硬直型マインドセット -1-

皆さま、日々ワクワクして、
過ごしていますか?

ワクワク目標達成研究室の森です。

 先日の京アニの事件、本当に心が痛みますね。
 ファンにしてみれば、心が痛むというより、甚大な喪失感を味わっているのではないかと感じます。

 「心のよりどころがなくなった」といったほうが、ニュアンスが伝わるでしょうか。

 アニメに関心のない方も、自分にとっての心のよりどころが、一瞬にして喪失すると置き換えると、ある程度は自分事化できるのではないでしょうか。
 
 この喪失感に対する心のケアを行う何らかの施策を、多言語で行う必要があるのではないかと考えます。

(京アニの事件に関連しての海外でのクラウドファンディングが、即目標達成したことを見ても、問題は日本に限定されていないことが理解できるでしょう)

 心の喪失感や不安全般に対して、どう取り組んだらよいかの話は別途記事にするとして、今回の記事のテーマは、アニメがらみで、最近のアニメや漫画、またはラノベで一つのジャンルになっている「チートもの」についてみていきます。

ここまで引っ張っておいて、心の不安はテーマにしないのか!?
悩んだんですけど、心の不安は8月中旬から後半にかけて、取り組んだ方かいいのかな、と思って。
「死」と向き合うお盆や、9月前の子どもたちの心の不安などを考えると、その時期に取り組むのがいいのかもしれないね。

「チートもの」とはなにか?

 皆さまは、「チートもの」というジャンルをごぞんじでしょうか?

 元来「チート」というのは「不正行為」という意味があり、ゲーム業界ではゲームデータを書き換えて、パラメータを異常なデータにしてしまう行為をさします(いきなりレベルMAXだったり、いきなりレアアイテムを大量に所有してたりなど)。

 しかし、ここ最近、そこから転じて、

「主人公が周囲と比べて、ありえないほど強い、またはありえない能力を持っている」

 ジャンルのことを「チートもの」と評するようになっています。

 この手のチートものでは、ほぼ全ての作品において、「今私たちが暮らしている現実世界」とは別の「異世界」が存在しているため、一般的には「異世界もの」というジャンルで呼ばれることのほうが多いです。

 「現実世界」と「異世界」を並行させることで……

  • 現実世界ではさえない、または普通の主人公が、
    異世界で(なんだかんだで)チートになって大活躍
  • 現実世界ではさえない、または普通の主人公が
    異世界でチート的な能力を身につけ、現実世界に帰還して大活躍
  • 現実世界でそもそも実力者だった主人公が
    異世界でさらにチート的な大活躍

 などと、派生的にさまざまな作品を量産させることが可能になっています。柳の下にはドジョウが酸欠しそうなほど、大量にうごめいているのが現状です。

異世界でさえない主人公が、現実世界でチート的な大活躍、ってパターンは、あまり聞かないなぁ。あるのかもしれないけど。
それも時間の問題、かもしれないですが、どっちかというと、それって異世界から「侵略」されるジャンルになるのかも……
「侵略」ものだと、古今東西たくさんあるからなぁ。

チートもの流行の背景には「硬直型マインドセット」あり

 チートものが流行している、という現象をどうとらえるべきか?

 高度成長期の1960~70年代に、漫画のジャンルでスポ根ものが流行ったように、今の時代にチートものが流行している、ということは、そこに時代を捉えるカギがある、と考えるべきでしょう。

 個人的には「硬直型マインドセットが、それだけ今の若い世代に拡大している」ということなのではないか、ととらえています。

 「マインドセット『やればできる! 』の研究」によれば、

硬直型マインドセットとは、一言でいえば

「人間の才能は生まれつき決まっていて、
 性格も能力も後から変えることはできない」

 という、ものの見方、考え方(マインドセット)をさします。

 硬直型マインドセットの逆は、

「人間は努力することで
 自分の意思により人生を変えていくことができる」

 という、ものの見方、考え方(マインドセット)で、
 これを「しなやかマインドセット」と呼びます。

 余談ですが、現在の遺伝や知能の研究では、
 答えは「両方」になります。

 遺伝的要素があって、
 個々人が同じスタートラインには立っていないけれど、

 環境の影響で才能が高まることも弱まることもある。
 また、努力で、自分の意思により人生を変えていくことができる。

 ただ、遺伝についての研究者が口をそろえて、遺伝は宿命論としてとらえてはならず、あくまで確率論だと警告しているにもかかわらず、遺伝を硬直型マインドセットの根拠として援用する傾向は強いです。

マインドセットも、硬直型マインドセットとしなやかマインドセットの両方持っている人も多いんじゃないか!?
その通りです。性格は変えられない(硬直型マインドセット)が、知能は変えられる(しなやかマインドセット)と考える人も一定数いるでしょうね。分野ごとでマインドセットが違うことは普通です

マインドセットの違いで意識や行動がこんなに変わる

 では、硬直型マインドセットと、しなやかマインドセットをもつことで、もう少し具体的に、ものの見方や考え方がどう違うのか、そしてそこからどのような行動が生み出されるのか、比較してみましょう。

硬直型マインドセット
・つまづいたら失敗
・努力するのは無能な証拠
・自分をあがめ、まるごと受け入れてくれる人を求める
・物事がすべて順風万端であると意欲が出る
・成功するのは、固定的な能力が人より優れている証拠
・自分よりも出来の悪い人を探して安心する
・言い訳をする
・努力することが怖い(努力家は無能だし、全力で努力して失敗したら言い訳できない)
しなやかマインドセット
・成長できなければ失敗
・努力こそが人を有能にする
・自分の欠点を指摘し、その克服に手助けしてくれる人を求める
・困難に挑戦するときに意欲が出る
・成功は、成長を求める中で生じる副産物
・自分より優れた人から学ぶ
・自分の間違いを(自己卑下せずに)正しく認める
・努力するのが好き(好きなことを努力する)
なんか「俺はまだ本気出してないだけ」という言葉が頭をよぎった。

硬直型マインドセットにとっての理想は「努力する必要のない超人」

 こうしてみると、チートものは、硬直型マインドセットの産物だといっても過言ではないのではないでしょうか。もちろん、チートものの主人公が硬直型マインドセットだというわけではなく、それ以上に、チートものがウケる背景に硬直型マインドセットがある、という意味です。

  • チートものの主人公は努力をしない(あるいは努力が描かれない)。絶大な能力をすでに得ているから努力する必要がない

→これは、硬直型マインドセットの理想像ではないでしょうか。

  • チートものは、「努力しなくてもよい環境」という幻想がベースになっている。

→チートもので描かれる「異世界」は、ある種硬直型マインドセットの人にとっては、理想的な世界なのではないでしょうか。

 ただ、硬直型マインドセットにとっての理想となると、異世界チートものに限らない。たとえば、少なくない人は、スポーツ選手などの実力者にチートさを求めがちです。

「マルコム・グラッドウェルによると、
 私たちの社会では、骨を折って何かを成し遂げるよりも、
 苦もなくあっさりやってみせるほうが高く評価されるという。
 とてつもないことを、こともなげにやってのける超人的能力の持ち主こそが、現在のヒーローなのだ。

 これぞまさしく、硬直マインドセットの考え方にほかならない」

(「マインドセット『やればできる! 』の研究」 P57)

「(天才と言われがちな野球選手も多大な努力と自己鍛錬をしていたという話を聞いても)なお私たちは、スティーブン・ジェイ・グールド言うところの『野球選手とは天性の素質がおのずと発揮される肉塊であるという一般通念』を捨てきれずにいる」

(「マインドセット『やればできる! 』の研究」 P116)
スポーツ以上に「生まれつきの才能ですべてが決まる」と思われがちなのが芸術の分野。しかし、「マインドセット『やればできる! 』の研究」では、芸術分野もまた、マインドセットと正しい努力でド素人が上手に絵を描いたりできるという事例が紹介されている。
原田メソッドがスポーツ、芸術、教育の分野で多大な実績をあげているのも、硬直マインドセットで「生まれつき」と見なされやすい分野で、しなやかマインドセットと正しい努力へのプロセスを明確化できるからだといえますね。

次回予告

ここまでくると、派生的に以下の疑問がわいてきますね。

  • なぜ、「現在」チートものが人気なのか?
  • 硬直型マインドセットとしなやかマインドセットの比率は、
    だいたいどれくらいか?
    また、時代とともに変化しているのか?
  • 硬直型マインドセット→しなやかマインドセットへ変えることは可能か?また逆も可能か?

 次回は、上記の疑問について、考えてみたいと思います。

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